個別的労働紛争の増加と新しい解決のための法制度の必要性

労働組合や労働者集団と使用者との間での労使紛争というのは、最近減少しているようです。しかし、労使紛争自体が減少したわけではなく、団体ではない個々の労働者と使用者との間の労働紛争は、かなり増加しているようです。

そのような個別的労働紛争については、行政による紛争解決システムが準備されていますが、司法上解決手段は、通常の民事事件と同様のツールである調停や訴訟があるだけで、必ずしも紛争解決手段としては十分なものではありませんでした。

ちろん、法の支配の下では、紛争は最終的には訴訟により解決すべきではあります。しかし訴訟は時間がかかるというのが相場です。訴訟に至る前に、迅速で柔軟な解決ができる司法制度があれば、紛争の多くが解決できるのではないかということで作られたのが、「労働審判制度」です。

労働審判制度とは

この制度は、企業と個々の労働者との個別的労働紛争を取り扱うもので、その特色は、何といっても、迅速性にあります。個別的労働紛争について使用者あるいは労働者が裁判所に申立をすると、労働審判官、労働審判員二名による労働審判委員会が、原則三回の審理をして、調停あるいは審判をすることにより、当該紛争を解決する制度です。

紛争の解決が裁判所でされること、労働審判委員会による審理であること、調停のみならず審判という判断もすること、原則三回で審理を終えるというものであることが特徴的です。

労働審判の対象となる事件

個別的労働紛争にかけられる主な事件としては、解雇事件、賃金請求事件などの典型的事件はもちろんのこと、セクハラ事件・パワハラ事件など、若干複雑な事件の申立もあります。
また事実関係が明確な事件であれば、アルバイトやパートでも申立てることができます。

また、申立てを受けた側は、基本的に、申立てから40日以内に定められる第1回期日までに、申立書に対する反論書面や証拠を出し切る必要があるため(第1回期日が重要で、ここが勝負所といえます)、突如として自社の従業員から労働審判を申立てられた場合、企業側の準備は大変です。
そのため、普段からすぐに相談のできる弁護士が必要なところでしょう。
労働審判事件についての代理人は、原則として、弁護士に限られます。

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