労働基準監督署から調査の日程を報告されたり、突然の訪問や呼び出しをうけたらどのように対応したらよいかを下記にまとめました。
是正勧告
是正勧告とは、労働基準監督署(労基署)の監督官が労働諸法に基づいて行った調査の結果、労働基準法に違反していることが明らかになった点を指摘し、是正勧告書として企業に勧告指示を出すものです。
労働基準法の違反に対する警告だと考えればよいでしょう。
労働基準監督署の臨検の方法としては、事前に調査を行う旨の通知がある場合、全く抜き打ちで行う場合、監督署に呼び出される場合などいろいろな形で行われます。
勧告内容には、是正期限が設けられており、是正勧告を受けた企業は、どのように是正したのかを是正報告書として期限までに提出しなければなりません。
是正勧告を受ける場合
是正勧告が行われるきっかけは、会社の処遇に不満を持っている従業員や退職した従業員の申告による場合が多いようです。
そのため日ごろから、社内の人事労務管理を整備しておくことがいかに重要であるかがおわかりいただけると思います。
是正勧告でよく指摘される事項
是正勧告で法違反としてよく指摘される事項としては以下の事項が多いようです。
・残業代の不払い
・就業規則の未作成
・雇用時における労働条件の書面による明示違反
・法定労働時間、変形労働時間制に関する違反、36協定未作成など
・賃金台帳への労働時間の未記入
上記のことから日々の労務管理において重点を置く項目が見えてくることと思います。
特に、残業代の不払い(サービス残業問題)については、労働基準監督署としても是正に力を入れているようです。
是正勧告には従いましょう
行政指導には強制力がないので、「是正勧告」にも従わなくていいのではないかと考えがちですが、労働基準法の中で懲役または罰金というペナルティーが設けられており、是正勧告に従って是正しなければ、最悪の場合、書類送検となり、罰せられる可能性もありますので、注意が必要です。
また、割増賃金の不払いなど是正勧告の内容によっては、会社に多大なコストが突然発生する場合があり、専門的な見地から早急な対処が必要となります。
資料に反映されていない事情は主張しましょう
労基署が調査に入って様々な資料を入手した後では、使用者が労基署の是正勧告に対して対抗する手段はほとんどありません。
しかしながら、労基署に提出した資料には表記されていないものの、使用者としてどうしても主張したい事情もあるのではないでしょうか。
例えば、パソコンのログイン時間を参考に労働時間が計算されている場合は、ログインされていた全ての時間に仕事をしていたのでしょうか。ログインしたままで席を離れている時間があったかもしれません。
以上のような事情があれば、労基署に主張することも可能です。
労基署の調査が入ったらといって直ちに諦めるのではなく、少しでも支払うべき金額を減額するべくできる限り努力すべきです。
その際には、できるだけ労働問題に詳しい弁護士を交えて労基署の担当官と話し合うのがよいでしょう。
是正勧告を受けてしまったら
昨今、企業のコンプライアンス(法令順守)が重要視されております。
そのような社会的状況の中で、是正勧告を受けたということは、会社の社会的信用を低下させ、大きな損害をもたらす可能性もあります。
しかし、是正勧告を受けてしまった以上は、それを会社の人事労務管理を見直す絶好の機会と捉えてはいかがでしょうか。
会社と従業員のみなさんが一体となって、これから会社をどうしていくべきかを考えてみてはいかがでしょうか。
事実、是正勧告を機に会社の人事労務管理関係を見直したことにより、社員の士気が高まり、職場の雰囲気も変わり、企業の利益もあがる例もあるようです。やはり「企業は人なり」ということが伺えます。
それらの解決のサポートするのは我々専門家です。是正勧告の内容によっては、運用の仕方を変えることによって、コストをほとんどかけずに改善することが可能な場合もあります。
是正勧告を受けたが、どうやって改善すればいいかわからない。
そもそも改善なんてできないなど思われた方は一度ご相談ください。きっとお役に立てると思います。
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